君を見てたら 夏だなと思った。

日本における四季の消失。

今日は朝から暑かった。まだ5月なのに、寝具を夏用に移行してるのにも関わらず、寝汗を掻いていた。近頃、朝晩は冷えていたが、朝からこの気温だ。南国には早々と夏が来る。

カーテンと窓を開ければ、昨晩干した洗濯物がもう乾いていた。こういうところは夏の好きなところだ。通常であれば、イベントであるとか、葉の色で季節の移り変わりを体感するものだろうが、こういった四季の感じ方も乙だろう。

 

昼間はじりじりと皮膚に日差しが照り付ける。多分、パンを焼くオーブンの中もこんな感じなんだなといつも思う。そんな炎天下の中、ふと中学時代のことが思い浮かんだ。

 

中学時代の思い出。

私は中学時代に初めて恋人ができた。告白されたのも今日みたいな暑い日だったと思う。動機は、私が当番の仕事を手伝ったから好きになったとかだ。案外単純だなあと思った。大抵こういうことは友人を通して伝えられる。私も恋愛経験が浅く、少々浮かれてたため、1年生の夏ごろから付き合い始めた。付き合った期間そのものが短かったので、デートもカラオケとか映画とか数えるほどしかしていない。

 

程なくしてその子は不登校になる。登校するとすぐ保健室に行き、何となく好きな授業だけ、やる気の出たときだけ来るというスタイルだった。クラスの誰かにいじめられたというわけでなかったらしいが、真相は定かではない。


こういう時は真っ先に私が手を差し伸べるべきだが、寧ろ自分から距離を取ってしまった。よくある「じぶんがイジメにの標的にされる」とかじゃなく、自分もマイナスの方に引き込まれて、不登校になりそうと思ったからだ。我ながら最低なやつだと思う。

 

不幸中の幸いではあったが、ふたりとも無事に卒業できた。卒業式当日の記憶は殆ど無いけれども、多分その子とは喋らずに終わった。

 

時が流れて。

人は思いもよらぬところで再会を果たすと思う。場所に限りは無く、直接会ったり電話越しだったり、メディアを介してだったりする。

 

数年前、たまたまその子をSNSで見掛けた。彼女は結婚していて、披露宴の写真投稿には沢山のお祝いのメッセージがついていた。自ら遠ざかった私には花向けの言葉を送る権利など無い。ただでさえ久しい旧友に声をかけるのすらはばかられるのに、出来るはずもない。

 

その後、成人式でも見掛けた。式の前に子供を抱えて友人と楽しそうに喋っていた。

 

もちろん、一言も話すことは無かった。